調味料として意外に便利な「とろみ剤」について、まとめてみました。
とろみ剤とは
誤嚥(食べ物が気管支に入ってしまうこと)を防ぐため、液状の食品にとろみをつける製品です。粉末になっていて、とろみをつけたい液体に溶かして使います。誤嚥は体力が落ちて飲み込む力が弱くなった人が起こしやすいので、介護用品として売られています。
が、介護だけでなく、ダイエットにも重宝するのです。たとえばノンオイルドレッシングに使うと、とろみがついてサラダの具材にからみやすくなります。グルテンフリーな調理にも、米粉などに混ぜるとグルテンの代わりに粘りを出してくれます。
工夫次第でいろいろ使えるので、調味料の一種として常備しとおくと便利です。
とろみ剤の世代別特徴
第1世代
主成分がデンプンのもの。
- とろみを出すのに加熱が必要
- ダマになりやすい
- 唾液でとろみがなくなる
- とろみを強くしようとすると、粉っぽさが残る
現在では、ほとんど売られていません。
第2世代
主成分がデンプン+増粘多糖類(キサンタンガム、グアーガムなど)のもの。
- 冷たいものにとろみをつけにくい
- ダマになりやすい
- 唾液でとろみが弱くなりやすい
- とろみを強くしようとすると、粉っぽさが残る
価格面では第3世代の製品より若干安く設定されていますが、ほとんど差がありません。第3世代の製品に比べて使い勝手の面で劣るため、置き換わりつつあるようです。
第3世代
主成分がデキストリン+増粘多糖類のもの。
- 常温のままでとろみづけ可能
- 比較的ダマになりにくい
- 唾液の影響を受けにくい
- 無味無臭で、食品の味や香りを邪魔しない
デンプン入りのものに比べると、使い勝手が向上しています。
原材料の基礎知識
デキストリン
デンプンを加水分解したもの。
ちなみに、トクホで使われている「難消化性デキストリン」は、このデキストリンから食物繊維の部分のみを抽出したものです。
増粘多糖類
食品に粘性を与えるために使われる添加物で、次のようなものがあります。
- ペクチン
- グアーガム(グァーガム)
- キサンタンガム
- タマリンドガム
- カラギーナン
- プロピレングリコール
- カルボキシメチルセルロース(CMC)
2種類以上を増粘の目的で使用した場合に「増粘多糖類」とまとめて記載して良いことになっています。具体的に何を使っているのかを企業秘密とする目的で、敢えてまとめて記載するケースも多いようです。
主な製品の成分
第2世代
トロミアップエース(日清オイリオ)
- デキストリン
- でん粉
- 増粘多糖類 ※使用原料は社外秘
ハイトロミール(フードケア)
- デキストリン
- でん粉
- 増粘多糖類(グアーガム)
第3世代
つるりんこQuickly(森永乳業)
- デキストリン 65.0%
- キサンタンガム 30.0%
- 乳酸カルシウム 2.6%
- クエン酸三ナトリウム 2.4%
つるりんこ牛乳・流動食用(森永乳業)
- デキストリン 78.1%
- キサンタンガム 11.5%
- カラギナン 8.0%
- クエン酸三ナトリウム 2.4%
とろみ名人(サラヤ)
- デキストリン
- 増粘多糖類(とうもろこし、豆類)
とろみ調整食品(サラヤ)
- デキストリン
- 増粘多糖類(テンサイ、桑豆)
トロミパワースマイル(ヘルシーフード)
- デキストリン
- 増粘多糖類 ※使用原料は社外秘
トロミスマイル(ヘルシーフード)
- デキストリン
- 増粘多糖類 ※使用原料は社外秘
トロミクリア(ヘルシーフード)
- デキストリン
- 増粘多糖類 ※使用原料は社外秘
トロミーナ(ウエルハーモニー)
- デキストリン
- 増粘多糖類
トロミアップ パーフェクト(日清オイリオ)
- デキストリン
- 増粘剤(増粘多糖類、CMC)※使用原料は社外秘
- クルコン酸ナトリウム
- 塩化マグネシウム
トロミアップ パーフェクトEN(日清オイリオ)
- デキストリン
- 増粘多糖類 ※使用原料は社外秘
- クルコン酸ナトリウム
ネオハイトロミールIII(フードケア)
- デキストリン
- 増粘多糖類(キサンタンガム)
- pH調整剤
ネオハイトロミールE&G(フードケア)
- デキストリン
- 増粘多糖類(キサンタンガム)
- pH調整剤
スベラカーゼ(フードケア)
- デキストリン
- ゲル化剤(増粘多糖類)
- トレハロース
- 酵素
トロメイク(明治)
- デキストリン
- 増粘多糖類
- pH調整剤
ソフティアS(ニュートリー)
- デキストリン
- 増粘多糖類
- pH調整剤
ソフティアG ゼリー食用(ニュートリー)
- デキストリン
- 増粘多糖類
- pH調整剤
新スルーキングi(キッセイ薬品工業)
- デキストリン
- 増粘多糖類
- pH調整剤
おすすめ
こうして散々調べた結果、最終的に選んだのは「つるりんこQuickly」です。レビューを比較した結果、これが一番ダマになりにくく使いやすそうでした。
原材料をすべて公開しているところも安心です。介護用だと選択が変わるかもしれませんが、調理用という観点からは、とても使い勝手がよいと思います。